お花は地に生えているときは根が水を吸い上げ、花や葉まで行き渡らせてくれていました。しかし根のない切り花には、その力が弱くなってしまっています。
そこで切り花のために私たちができる方法は、「水揚げ」を行うこと。
水揚げには、切り口を切る、お湯で煮る、茎を焼いたり叩いたりするなど、さまざまな方法があります。
今回は水揚げの具体的な方法と、それぞれに適した花の種類を紹介していきます。
花の水揚げ 水切りとは?
「水切り」はどの花にも合う、オールマイティな水揚げのやり方です。
このあと紹介する他の水揚げでも、この「水切り」とミックスして使うことも多いので、これだけは覚えておきたい基本の方法です。
バケツなどに水を張って茎を浸し、茎の先端から3~4cm辺りを水中で斜めに切ります。
水圧を利用するため、なるべく深くで切りましょう。
お花が勢いよく水を吸い上げるので、そのまましばらく置いておきます。
どんな花でも全般に有効
花の水揚げ 湯揚げとは?
茎を熱湯で煮る方法で、もともと水を吸い上げにくい、いわゆる「水揚げの悪い花」にも効果があります。
まず無駄な葉を取り除き、花や葉を保護するため新聞紙などで包みます。
茎を水切りし、沸騰したお湯に先端を20秒ほど浸けます。お湯から引き上げたら、すぐに水に浸けます。
湯揚げでは、熱湯につけることで切り口を消毒し、細菌の侵入を防ぐことができます。
また、茎内の空気を抜き、水を吸い上げやすくする効果もあります。
お湯から水に移したときに一気に水を吸い上げてくれますので、素早く行うようにしてください。
マーガレットやヒマワリなどキク科の花。バラ、ストックなど水揚げの悪い花
花の水揚げ 焼き揚げとは?
焼き上げは、熱を利用した湯上げに近い方法です。
乾燥防止のため水で濡らした新聞紙で花を巻き、水切りします。
茎の先端2~3mをガス火などであぶり、炭のように黒くなったら水に浸けます。
湯揚げと同様、茎を殺菌する効果・空気を排出する効果があります。
樹液を排出する効果も高く、導管を塞ぐ原因となる樹液を出しやすい花に適しています。
また、茎を炭化させることで、より吸水力を高める効果もあります。
ポインセチア、ブルーベリー、クチナシ、アジサイなど
花の水揚げ 割る・裂く
サクラやツツジなどの枝物全般、茎の固い植物におすすめの水揚げ方法です。
根元から縦に2~3cmほどハサミかナイフをを入れ、十字に切ります。
吸水面積が広がることで、水を吸い上げやすくなります。
ポインセチア、ブルーベリー、クチナシ、アジサイなど枝物全般
花の水揚げ 叩く
「割る・裂く」と近い方法で、茎の固い植物、水揚げの悪い植物に適しています。
ハンマーや金づち、木づちで切り口を叩きます。茎を砕くことで繊維が壊れ、吸水面積が広がります。
コデマリ、ストック、テッセン、ユキヤナギなど
花の水揚げ 逆さ水
葉の裏に水分を補給する水揚げの方法です。
植物の葉裏には、水分を蒸散させる気孔が集中しています。裏側から水をかけることで葉裏からの蒸散を防ぎ、水揚げを促進します。
葉っぱが多くついている植物や枝物に有効です。
花を逆さに持ち、葉の裏に水をかければOKです。
また、スプレーを使って葉の裏に霧吹きを行うことでも手軽に代用できます。
アジサイ、クチナシ、アスターなど
花の水揚げ 深水
時間がかかりますが、水を吸いにくい花に有効で確実な水揚げ方法です。
新聞紙などで花をきつめに巻きます。バケツに入れた水に、花首の手前までたっぷり水を注ぎ、3~4時間ほど置きます。
バラ、菊、ひまわり、カスミソウ、アジサイ、ライラックなど
花の水揚げ まとめ
水揚げのさまざまな方法を紹介してきました。
水を吸いやすい花・吸いにくい花、茎のやわらかいもの・かたいものなど、お花の個性によっていろいろな方法があります。
お手入れ方法のバリエーションを知っておくと、たくさんの花と仲良くなれそうですね。
お部屋にある花には、どんな方法が合っているでしょうか? ぜひ見つけてみてください。